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ホーム研究が示していること

ゴール勾配効果:目標に近づくほど、人は速くなる

目標に近づくほど、人はその目標に向かう行動を加速させます。カフェのスタンプカードを使った研究は、この加速を実データで示しただけでなく、進捗が見かけ上のものであっても効くことまで示しました。研究は英語圏の顧客を対象にしたもので、日本の利用者を調べたものではありません。それでも、貯金の目標をどう見せるかという設計には直接使えます。

近づくほど速くなる

実店舗のカフェで、特典プログラムの利用データを追った研究があります。無料の一杯まであと何個かという位置と、次の来店までの間隔の関係を調べると、目標に近いほど間隔が短くなっていました。つまり最初の一個目から二個目までより、九個目から十個目までのほうが速い。これがゴール勾配効果で、動物実験の古典的な知見が人間の消費行動でも確認された形になります。行動を続ける力が一定ではなく、残りの距離によって変わるという点が、この知見の実務的な意味です。

見かけの進捗でも効いてしまう

この研究がよく引用されるのは、次の比較のためです。あらかじめ2個のスタンプが押された12個のカードと、何も押されていない10個のカード。どちらも無料の一杯までに必要な購入は10回で、実質的にはまったく同じ条件です。ところが、2個押された12個のカードを渡された客のほうが、10回を終えるまでが早くなりました。進捗が実質的なものかどうかではなく、進んでいるように見えるかどうかが効いていたということです。目標の設計における見せ方の重みを、これほど分かりやすく示した結果はそう多くありません。

この研究は日本の利用者のものではない

念のため書いておきます。この研究は英語圏で行われたもので、日本の消費者を対象にした調査ではありません。したがって「日本人は残り何割から加速する」といった数字をここから作ることはできません。持ち帰れるのは方向だけです。残りの距離が見えていると行動が変わり、進捗が見えていると続きやすい。この二つは、貯金の目標をどう設計するかという問いに、そのまま翻訳できます。金額の大きさより、いまどこにいるかが見えているかどうかを先に整えるということです。

貯金の目標に翻訳する

実務への落とし込みは三つあります。第一に、目標には金額と期限を書くこと。残りの距離が計算できない目標では、加速のしようがありません。第二に、大きな目標を分けること。百万円という一つの目標より、十万円ごとの区切りが十個あるほうが、常にどこかの目標の近くにいられます。第三に、進捗を目に入る場所に置くこと。研究が示したのは、進んでいるという感覚そのものが行動を変えるということでした。残高を確認しに行かないと分からない状態と、開いた瞬間に見える状態では、続き方が変わります。

出典

以下の出典はすべて実際に取り寄せて確認しています。内容は、出典が述べているとおりに書いています。

よくある質問

目標は大きく設定したほうがいいですか?

大きな目標を一つ持つより、区切りを刻んだほうがこの効果は使えます。最終目標は大きくても構いませんが、途中に到達点を置いて、常にどれかの近くにいる状態を作ってください。遠い目標だけだと、いちばん加速しない区間が延々と続きます。

少しだけ先に入れておくのは有効ですか?

研究が示したのは、あらかじめ進んでいる状態から始めたほうが速く終わったという結果です。家計に翻訳するなら、目標を立てた日に少額でも最初の入金を済ませてしまうのが、その形にいちばん近い実務になります。ゼロのまま置いておかないということです。

進捗が見えると、逆に焦りませんか?

人によります。焦りが強く出るなら、期限を延ばして一区切りの距離を短くしてください。効いているのは残りの距離の見え方なので、距離を短くすれば負荷は下がり、効果の方向は変わりません。

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