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ホーム研究が示していること

キャッシュレス効果:71件のメタ分析が示したこと

支払い方法が変わると支出額が変わるのか、という問いには研究の蓄積があります。2024年に発表されたメタ分析は、17か国・71件の研究をまとめ、キャッシュレスで支払うほうが支出が大きくなる傾向があると報告しました。ただし、これは日本の家計だけを対象にした調査ではありません。日本は現金、クレジットカード、QRコード決済、交通系ICが同時に走る国なので、結論をそのまま当てはめる前に、自分の支払いの内訳を確かめる必要があります。

何が調べられたのか

個別の実験は昔からありましたが、結果はばらついていました。ある研究では現金のほうが支出が抑えられ、別の研究では差が出ない。そこで2024年のメタ分析は、17か国で行われた71件の研究をまとめ、参加者は延べ1万1000人を超える規模で全体の傾向を推定しました。結論は、平均としてキャッシュレス決済のほうが支出が大きくなるというものです。ただしメタ分析が明らかにしたのはもう一つあって、効果の大きさは条件によって変わるということです。ステータス性の高い商品ではより強く出る一方、チップや寄付では現金より増えるとは限りませんでした。

この結果は日本の調査ではない

ここははっきりさせておく必要があります。このメタ分析は17か国の研究をまとめたもので、日本の家計を対象にした調査ではありません。日本の支払い環境には固有の事情があります。クレジットカードは締め日と支払日があって翌月にまとめて引き落とされ、QRコード決済と交通系ICは先にチャージしてから使う前払いの形をとります。つまり「現金かカードか」という二分法では説明できない支払い方が、日常の中に複数走っています。研究の結論を自分の家計に当てはめるときは、まず自分がどの支払い方をどの割合で使っているかを確かめるところからです。

前払い型が記録をいちばん壊す

研究が扱ってきたのは主に、支払いの痛みが薄れると支出が増えるという仕組みです。日本ではこれがチャージ型でとくに強く出ます。チャージした時点ではまだ何も買っていないのに口座からお金は出ていて、実際に買った瞬間には残高が減った感覚がほとんどありません。しかも家計簿をつけようとすると、チャージを記録すべきか買い物を記録すべきかで迷います。両方つければ二重計上になり、片方だけだとどちらかが見えなくなる。支払い手段の問題である前に、記録の設計の問題です。ここを決めておかないと、どんな方法でも続きません。

袋分けが効くとしたら、どこにか

この研究群から家計に持ち帰れることは、支払い手段を現金に戻せという話ではありません。上限が見える状態を、支払い手段とは別のところに作るという話です。袋分けは、月初に費目ごとの金額を決めて残高を見えるようにする方法なので、支払いが現金でもカードでもコード決済でも、上限は同じように機能します。手入力である必要はないという意見もありますが、入力する瞬間に金額を見ることが、薄れた支払いの感覚を取り戻す作業そのものになります。研究が示しているのは、感覚が薄れると使うということです。だから感覚を戻す手順を、意図的に一つ挟みます。

出典

以下の出典はすべて実際に取り寄せて確認しています。内容は、出典が述べているとおりに書いています。

よくある質問

現金に戻したほうが貯まりますか?

この研究群が示しているのは平均的な傾向であって、あなたが現金にすれば必ず減るという保証ではありません。実際、日本ではポイント還元や公共料金の支払い方の関係で、現金に戻すことに別のコストが伴います。効くのは支払い手段そのものより、使う前に上限が見えているかどうかです。手段は変えずに、上限を見える場所に置くほうが現実的です。

チャージはどう記録すればいいですか?

チャージは支出ではなく、袋から袋へのお金の移動として扱い、実際に買った時点で買い物として記録するのがいちばん破綻しません。こうすると二重計上が起きず、残高も合います。詳しい手順は、コード決済とチャージの記録方法を扱ったガイドにまとめてあります。

この結果は日本人にも当てはまりますか?

分かりません。このメタ分析は日本の家計を対象にしたものではないので、当てはまるとも当てはまらないとも言えません。確かめる方法は一つあって、自分の支払い方法別に一か月分を分けて記録し、実際に差が出るかを見ることです。他人の平均より、自分の一か月のほうが確実です。

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