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ホーム研究が示していること

デフォルト効果:あらかじめ決まっている選択肢が、たいてい勝つ

選択肢の中身を変えなくても、どれが初期設定になっているかを変えるだけで人の行動は大きく変わります。米国企業の年金制度と、欧州の意思表示制度を使った研究が、その大きさを繰り返し示してきました。以下はいずれも米国と欧州のデータで、日本の制度や日本人を対象にした調査ではありません。ここで扱うのは、どの制度に入るべきかという話ではなく、自分の家計の初期設定をどこに置くかという話だけです。

制度を変えずに、行動だけが変わった

米国の大企業1社が、確定拠出年金の加入方式を「自分で申し込む」から「自動的に加入し、やめたい人が抜ける」に切り替えました。掛金の条件も運用の選択肢も変えていません。変えたのは、何もしなかったときにどうなるかという初期設定だけです。それでも加入率は大きく上がりました。さらに興味深いのは、自動加入された人の多くが初期設定の拠出率と初期設定の運用先にそのままとどまり続けたことです。以前は、その組み合わせを自分で選ぶ人はほとんどいませんでした。人は選ばないのではなく、初期設定を選んでいるということです。

同じことが、まったく別の分野でも起きる

この現象はお金に限りません。臓器提供の意思表示を扱った研究では、オンライン実験で回答者を三つの条件に分けました。初期設定が非提供の条件では同意が42パーセント、初期設定が提供の条件では82パーセント、初期設定のない条件では79パーセント。選択肢も手間もほぼ同じで、違うのは何もしなかったときにどちらになるかだけです。欧州各国の実際の制度の違いを比べたデータでも、同じ方向の大きな差が確認されています。つまりデフォルト効果は、特定の分野の癖ではなく、選択の場面に広く現れる性質だということです。

この研究は米国と欧州のものであること

はっきり書いておきます。ここで挙げた研究は、米国の企業年金制度と、欧州の意思表示制度を対象にしたものです。日本の制度を調べたものではありませんし、日本人を対象にした調査でもありません。そして重要な線引きがもう一つあります。この研究は「自動加入は加入率を上げる」という事実を示しているだけで、どの制度に入るべきか、どこに積み立てるべきかを示すものではありません。制度の選択は個人の状況と条件によるもので、このページの範囲外です。ここで扱えるのは、自分の家計の中に自分で初期設定を置く方法だけです。

自分の家計に初期設定を置く

研究から持ち帰れる実務は単純です。何もしなかったときにお金がどこへ行くかを、自分で決めておくということ。多くの家計では、初期設定は「口座に置いたままにする」になっています。この設定では、余ったお金は生活費として静かに消えます。これを変えるには、給料日にお金が動く先をあらかじめ決めておけばいい。先取り貯金や自動積立はその形ですし、袋分けも同じことを費目の側でやっています。月初にすべてのお金へ役割を割り当ててしまえば、割り当てのないお金という状態そのものが存在しなくなります。

出典

以下の出典はすべて実際に取り寄せて確認しています。内容は、出典が述べているとおりに書いています。

よくある質問

どの制度で積み立てるのがよいですか?

このページでは扱いません。制度の選択は税や社会保険の条件が絡み、個人の状況で答えが変わるためです。ここで示しているのは、初期設定が行動を大きく左右するという研究上の事実と、その事実を自分の家計の設計に使う方法だけです。制度については公的な窓口や資料を確認してください。

自動化すると、家計に無関心になりませんか?

その懸念は正当です。研究が示しているのは、初期設定にとどまる人が多いという事実でもあるからです。だから自動化するのは金額を動かす部分だけにして、見直す日を年に一度カレンダーに置いておくのが現実的です。自動化と放置は違います。

手入力の家計簿と自動化は矛盾しませんか?

役割が違います。お金の移動は自動にしておき、使ったことの記録は自分の手で残す。移動を自動にすると続き、記録を手で残すと支出の実感が戻ります。どちらか一方に寄せる必要はありません。

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