たまにしか来ない支出ほど、見積もりを外す
毎月の支出は意外と正確に予測できるのに、たまにしか来ない支出だけが体系的に外れます。2012年の研究は、人が例外的な支出を全体としては過小評価し、一件ごとには使いすぎるという二重のずれを報告しました。研究は米国の消費者を対象にしたもので、日本の家計を調べたものではありません。それでも、特別費の積立という対処の理屈はここから素直に導けます。
外れるのは、たまの支出だけ
研究が示したのは、予測の精度が支出の種類によって非対称だということです。食費や光熱費のような日常的な支出については、人はかなり正確に見積もれます。ところが、たまにしか発生しない支出になると、二つのずれが同時に起きる。全体としての総額を少なく見積もり、そのうえで一件ごとには予定より多く使う。この組み合わせが家計にとって最悪なのは、あらかじめ用意していない金額を、想定より大きな形で払うことになるからです。毎月きちんと予算を守っている家計が、年単位で見ると貯まっていない理由の多くはここにあります。
原因は分類の細かさにある
著者らの説明は、心の会計の分類の仕方にあります。例外的な支出は、一つずつ見ると互いに無関係に見えます。友人の結婚式、家電の故障、車の点検、帰省の交通費。どれも「今回だけの特別な出費」として、それぞれ別の箱に入れられます。別の箱に入っている限り、合計されません。だから年間の総額を聞かれると少なく答えてしまうし、一件ごとには「特別だから」という理由で上限が緩む。研究が提案している介入は単純で、これらをばらばらの出来事としてではなく、一つのまとまった分類として見せることです。
この研究は米国のものであること
書いておきます。この研究は米国の消費者を対象にしたもので、日本の家計を調べたものではありません。日本人が年間いくら例外的な支出をしているかという数字を、ここから作ることはできません。一方で、日本の例外的支出の一覧は、英語圏のそれとはかなり違います。車検と自動車税、賃貸の更新料、冠婚葬祭のご祝儀と香典と内祝い、お年玉、帰省、入学準備。どれも金額は自分の通知書や見積もりを見なければ分かりませんが、来ること自体は分かっている支出だという点は共通しています。
対処は、一つの袋にまとめること
研究の提案を家計の道具に翻訳すると、特別費の積立という袋になります。年に一度あるいは数年に一度しか来ない支出を、別々の出来事としてではなく一つの分類として扱い、年間の合計を出して12で割り、毎月そこへ入れておく。これは節約の技術ではなく、分類の技術です。合計を一度出してしまえば、過小評価の余地がなくなります。金額の作り方はこうです。過去一年の記録から不定期に払ったものを全部書き出し、今後一年に来ると分かっているものを足す。平均ではなく、自分の数字を使ってください。
出典
以下の出典はすべて実際に取り寄せて確認しています。内容は、出典が述べているとおりに書いています。
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The Exception Is the Rule: Underestimating and Overspending on Exceptional Expenses
— Journal of Consumer Research, 2012
日常的な支出の予測は比較的正確である一方、例外的な支出については全体の総額を過小評価し、かつ一件ごとには使いすぎる傾向があると報告。原因として、例外的な支出を互いに無関係な一回限りの出来事として細かく分類してしまう心の会計の働きを挙げ、まとめて一つの分類として見る介入を提案している。
よくある質問
特別費の積立はいくら入れればいいですか?
一般的な金額はありません。過去一年で不定期に払ったものを全部書き出し、今後一年に来ると分かっているもの(更新料、車検、帰省、冠婚葬祭、家電の買い替え)を足して、合計を12で割ってください。それがあなたの必要額です。研究が示しているのは、この合計を出す作業そのものが効くということです。
貯金と分けなくてもいいのでは?
分けたほうが機能します。同じ袋に入っていると、不定期な支出が来るたびに長期の貯金が削られ、削られた記憶が残らないまま何年も過ぎます。名前を分ければ、使ったのがどちらかが記録として残ります。
金額が読めない支出はどう扱いますか?
金額が読めなくても、来ること自体が分かっているなら袋に入れられます。前回の実額を仮置きにして積み立て、通知書や見積もりが来た時点で金額を差し替えてください。ゼロから始めるより、必ず近い位置にいます。
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