返済が先か、貯金が先か。両方を同時に進める分け方
この選択は、どちらの側にも本当の理屈があります。金利のつく残高は、貯金が増える速さより速く増えます。一方で、手元にまとまったお金がないと、次の想定外の出費がそのまま同じ残高へ戻り、何年も同じ場所を回ることになります。よく使われる順番は、小さな生活防衛費を先に作り、次に返済へ集中し、返し終わってから生活防衛費を満額にする、というものです。余りを割合で分けて同時に進めるのも、筋の通ったやり方です。
取引を、正直に書く
返済を先にする根拠は計算です。金利のつく残高は、貯金に付く利息より速く増えるので、返済に回さずに現金を持っている月は、その差の分だけ損な側に立っています。貯金を先にする根拠は、計算ではなく仕組みです。返済は一方通行の取引で、返したお金は手元から消えます。来週、車が壊れたときに使えるお金が、同じ借入の枠しかない、という状態になります。つまり二つの主張は、同じ軸で競っていません。片方はお金の値段の話で、もう片方は、予定になかった支払いに計画がぶつかったときに何が起きるかの話です。
手元ゼロが、返済を振り出しに戻す
はっきり名前をつけておく価値のある壊れ方です。全額を返済に回して残高を減らします。そこで何かが壊れる、請求が想定より大きい、あるいは二週間仕事が減る。手元にお金がないので、その支払いは同じ借入に乗り、残高はほぼ元の位置へ戻ります。ただし、こちらは数か月ぶんの努力を使い切っていて、見せられるものは何もありません。二度目にこれが起きたとき、多くの人は「返済は自分には無理だ」と結論して止めます。生活防衛費は、この輪をそこで断ち切るためにあります。増える必要はありません。想定外を、借入のかわりに受け止めるのが役目です。
よく使われる順番と、その前提
いちばんよく勧められる順番は、小さな生活防衛費をまず作り、次に返済へ強く集中し、返し終わってから生活防衛費を満額にする、というものです。理屈は、上の輪に対する守りのほとんどを、小さな金額で買えるからです。逆に、金利のつく残高を抱えたまま大きな現金を持ち続けるのは高くつきます。ただしこれは枠組みであって、あなたへの処方ではありません。この順番は、借入の金利が実際に高いこと、収入がそれなりに安定していること、想定外が普通の範囲であることを前提にしています。そのどれかが当てはまらないなら順番は変わりますし、このページはあなたの家計を見ていません。
このページが判断できないこと
答えを変える要素のうち、一般的な記事が評価できないものがあります。ひとつは借入の契約条件です。優遇期間が終わる、金利が変動する、あるいは返還の猶予や減額といった制度が用意されている場合、単純な金利の比較では捉えられない形で判断が変わります。もうひとつは勤務先の制度で、これも会社ごとに違います。こうしたものは、契約書と、貸し手や勤務先の窓口にしか正しい答えがありません。金額が大きいなら、家計の全体を見られる専門家に相談する場面です。ここから先に書くのは家計の組み方であって、どの借入を優先すべきかという助言ではありません。
割合で分けて、同時に進める
どちらかを選ぶかわりに、余りを意図して割ります。最低返済額と固定費を確保したあと、残ったお金のうち何割を生活防衛費へ、何割を返済へ回すかを決めて、その割合を書き残します。気分ではなく決定にするためです。四分の一を生活防衛費、四分の三を返済、といった形なら、返済は進み続け、後ろで手元のお金が育ちます。割合そのものより、前もって固定されていて、使いたい週に交渉し直されないことのほうが大事です。収入が不安定だったり、想定外が頻繁だったりするなら生活防衛費側へ、安定しているなら返済側へ寄せてください。
袋の作り方と、切り替えの決まり
袋を二つに分けて、給料日にそれぞれ補充します。「生活防衛費」と「攻めの返済」です。どちらも余りの取り分を、月末の残りではなく補充として受け取ります。同じ月に二つの残高が動くのを見られることが、この分け方を我慢できるものにします。どちらの目標も見捨てられていないからです。そして、切り替えの決まりを先に作ります。生活防衛費が目標額に届いた月に、その袋の補充をゼロにして、全額を攻めの返済へ移す。Envelope Budget では生活防衛費の袋に貯金目標を付けられるので、切り替えの合図が、自分の気分ではなく残高のほうから来ます。
よくある質問
最初の生活防衛費は、いくらにすればいいですか?
見出しの数字ではなく、自分に実際に起きる想定外に合わせて決めます。実務的な方法は、この一、二年で本当に起きたいちばん大きな予定外の支払いを探して、その額以上にすることです。車の修理、家電の買い替え、急な帰省など、記憶ではなく明細から探してください。収入が動くなら、いちばん薄かった月と固定費の差額を足します。この袋の役目は、放っておけば借入に乗っていたはずのものを、受け止められる大きさであることです。
金利のつく残高があるのに、貯めていいことはありますか?
あります。貯めない場合の代わりが「次の想定外を同じ残高に乗せること」なら、貯めるほうが理にかないます。現金を持つことには利息の損があり、それは本物ですが、進んだ分を振り出しに戻す輪に対する保険を買っています。ただしこの取引は、手元のお金が増えるほど悪くなります。だからよく使われる順番は、最初の生活防衛費を小さく保ち、満額にするのを返済後に回しています。それ以上の判断は、金利と収入の安定度という、個別の事情によります。
最低返済額と固定費を払うと、余りが残りません。どうしますか?
そのときは、この問い自体が解くべき問題ではありません。分け方は、必要な支払いのあとに何か残っている前提の話で、残っていないなら、どんな配分のルールもお金を生みません。実際に効くレバーは三つです。固定費を下げる、収入を増やす、そして条件そのものについて貸し手と話す。返済の猶予や減額のような制度があるかどうか、使えるかどうかは、契約と貸し手にしか分かりません。一般的な家計のページが判断できる範囲の外にあります。
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