余裕がないところから生活防衛費を作る
毎月ほとんど残らない家計でも、生活防衛費は作れます。ただし作り方が違います。金額を意味のある大きさにしようとせず、必ず払える最小の額にすること、月末の余りではなく給料日に先に取り分けること、そして日付の分かっている支払いを別の袋で受けて、貯めた分が毎回消えるのを止めること。この三つの順番が、金額そのものより効きます。
問題は意志ではなく、順番と時期
毎月ぎりぎりの家計で貯金ができないのは、たいてい意志の問題ではありません。原因は二つです。ひとつは順番で、月末に残った分を貯めようとすること。変動費は空いた場所まで膨らむので、この順番だと残りません。もうひとつは時期で、日付の決まった大きな支払いが来た月に、それまで貯めた分が全部出ていくことです。年に何度かこれが起きると、1年たっても残高はゼロのままになります。どちらも工夫や我慢では直りません。順番を変えることと、支払いを受ける袋を分けることで直ります。だから最初にやるのは、節約ではなくこの二つです。
額を、笑ってしまうくらい小さくする
この状況で最初に決めるべきなのは、必ず払える最小の額です。月1,000円でも構いません。額が小さすぎて意味がないように見えますが、この段階で作っているのは残高ではなく順番です。給料日に、生活費より先に、決めた額を別の場所へ移す。この動作が毎月確実に起きるようになれば、あとは額を増やすだけの話になります。逆に、意味のある額から始めて二か月目に払えなくなると、動作そのものが消えます。増やすタイミングは、固定費がひとつ下がったとき、借入がひとつ終わったとき、収入が増えたときです。そのときに、増えた分をそのまま袋へ足します。
貯めた分が毎回消える理由を、先に潰す
ぎりぎりの家計でいちばん多い失敗は、少しずつ貯まったお金が、年に数回の大きな支払いで一気に消えることです。車検、自動車税、更新料と火災保険、帰省、冠婚葬祭、お年玉、入学や進級の準備、年払いの保険料。これらは突然ではなく、日付が分かっています。分かっているのに月々の生活費から出そうとするから、その月だけ赤字になります。やることはひとつで、これから12か月に来る支払いを全部書き出し、特別費の積立という袋に集め、年額を12で割って毎月入れます。最初は全額をまかなえなくて構いません。半分でも、消える速度が変わります。
小さくても、置き場所は分ける
月1,000円でも、生活費の口座に置いたままにすると意味がありません。残高に混ざった瞬間、それは使えるお金になるからです。別の口座に移す、目的別の口座を使う、現金なら封筒に分ける。方法は何でも構いませんが、引き出すのにひと手間かかることと、別の名前で見えることの二つを満たしてください。もう一つ、使ってよい条件を先に書いておきます。払わないと生活か仕事が止まるもの。それだけです。書いていないと、少し大きい買い物のたびに緊急に見えてきます。使ったら、金額と理由と、いつ戻すかを同じ日に書きます。
袋のほうをどう設定するか
袋は三つでいいです。生活防衛費、特別費の積立、予備費。生活防衛費は日付が読めない事態のため、特別費の積立は日付が分かっている支払いのため、予備費は月の中で起きる小さなずれのため。給料日には、この三つに小さくても先に入れて、残りを生活費の袋に配ります。Envelope Budget は入力が手動なので、残りがどれだけ薄いかがその日のうちに見えます。ぎりぎりの家計では、月末に気づくのと当日に気づくのとで結果が変わります。ウィジェットに変動費の残りを出しておくのが、いちばん地味で効く設定です。
よくある質問
月1,000円の貯金に意味はありますか
残高としては小さいですが、目的が違います。この段階で作っているのは金額ではなく、給料日に先に取り分けるという順番です。順番が定着していれば、固定費がひとつ下がった月や、借入が終わった月に、その分をそのまま袋へ足すだけで金額は増えます。順番がないと、収入が増えても貯まりません。実際、増収がそのまま生活水準に吸われるのは珍しくないことです。小さく始めることは妥協ではなく、順番を壊さないための設計です。
貯金する前に、まず支出を減らすべきではないですか
両方やりますが、順番は同時で構いません。支出の見直しが終わるのを待つと、いつまでも始まらないからです。固定費の見直しには時間がかかりますし、効果が出るのは翌月以降です。その間に貯金の順番を作っておけば、下げた分をそのまま袋に移せます。先に順番を作り、そのあと固定費を下げ、下がった分を袋に足す。この流れがいちばん詰まりません。逆に、支出が理想的になるまで貯金を始めないと決めると、たいてい何も始まりません。
生活防衛費と借入返済、どちらを優先しますか
金利と状況によるので、残高を見ずに決められることではありません。ただ、現金がまったくない状態だと、次の予想外の支払いが必ず借入を増やして、返済で進んだ分が戻ります。だから薄い生活防衛費を先に作ってから返済に集中する人が多いのは筋が通っています。返済を優先すると決めた場合でも、袋を完全にゼロにはしないでください。小さくても残しておくと、次の予想外が借入に変わるのを止められます。どちらの順番でも、給料日に先に取り分けるやり方は同じです。
この家計をスマホで回す
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