記録しない家計管理:先に貯めて、残りは自由に使う
費目を作らないやり方です。給料日に決めた額の貯金を先に出し、次の給料日までに引き落とされる固定費の分を取り分け、残りは記録せずに使います。貯まらないという症状にはよく効きます。貯めるほうが使うより先に起きるからです。ただし使いすぎには何もしません。そして早く尽きたとき、原因を教えてくれるデータが手元に残りません。
実際の回し方
給料日に三つやって、そこで終わりです。ひとつ、決めた額の貯金を、使う口座の外へ出します。銀行の自動積立にしておくと、覚えているかどうかに左右されません。ふたつ、次の給料日までに引き落とされる固定費の分を取り分けます。家賃と管理費、通信費、保険、月額サービス、借入の最低返済額。みっつ、残りを好きに使います。費目なし、レシートなし、記録なし。これが全部です。設計上の賭けははっきりしていて、書いておく価値があります。見える化を捨てて、続くことを取っています。ふつうの家計は週に何十回も小さな判断を求め、その一回ごとにやめる機会があります。この形が求めるのは、給料日の判断二つだけです。
合うのはどういう人か
固定費が安定していて、給料日が読めていて、問題が「使いすぎ」ではなく「貯まらない」なら合います。細かい家計簿を何度も始めては投げ出した人にも合います。そこで失敗したのは計算ではなく、毎日記録することのほうだったからです。使い方は収入とだいたい釣り合っていて、お金を第二の仕事にせずに貯蓄率だけ上げたい人にも向いています。ひとりで家計を握っていて、給料日が決まっていて、固定費を一分以内に諳んじられるなら、この形はおそらく続きます。逆に、その一分で言えないなら、まず固定費を書き出すところからです。
効かない相手と、その理由
いちばん効かないのは、使いすぎている人です。使いすぎを止める部品がひとつも入っていません。保証しているのは貯金が動いたことだけで、そのあとカードがいくら伸びても、この形は何も気づきません。収入が不規則な人にも効きません。定額の先取りは、決まった日に決まった額が入る前提です。手元が苦しくなった局面でも効きません。履歴がないので、19日にお金が尽きても、どこへ行ったのか言えず、したがって何も変えられません。そして、ゆっくり見えないまま効かなくなります。生活水準の上昇はこの形の下では何か月も隠れます。見ている数字が貯金の額だけで、その額は平らなまま、下で支出が伸びるからです。
今日から回せる、二つの袋の版
最小構成は袋二つと、貯金の補充ひとつです。給料日に、次の給料日までに期日が来る固定費の合計を「固定費」の袋に入れます。貯金の目標に、決めた額を入れます。残り全部を「自由に使う」という袋ひとつに入れて、それ以上は分けません。期間中は、自由に使う袋にだけ記録するか、記録せずウィジェットで残高を見るかのどちらかです。前者なら、費目を選ぶ判断ではなく一回の入力で済みます。ウィジェットがここで効くのは、この形が唯一捨てている情報、つまり「今いくら残っているか」を、開かず考えずに戻してくれるからです。
卒業の合図
ここがこの形の正直な限界です。自由に使う袋が、次の給料日より前にゼロになる月が二か月続いたら、この形は機能を終えています。根性では直りません。二回続けて空になったということは、残りが最初から足りていなかったということで、費目を持たなかったので原因は分かりません。そのときは、自由に使う袋をちょうど三つに割ります。食費、外食、そのほか全部。三つならまだ軽く、月を食べているのがどれかを見つけるには十分です。十個には飛ばないでください。それは前にやめた仕組みです。三つで一か月回して、そのうちのどれかが破裂し続けるときだけ、四つめを足します。
よくある質問
これは先取り貯金と同じものですか?
先取り貯金は、この形の中に入っている貯金のルールです。使う前に貯金を先へ動かす、という部分です。この形は、そのルールに加えて「ほかは全部やらない」と意図的に決めたものです。費目なし、支出の記録なし、月末の振り返りなし。費目をきちんと持った家計の中でも先取り貯金はできます。違うのは、移したあとに何が起きるかです。この形では、移したあとに何も起きません。その空白が眼目です。
先に出す額は、いくらにすればいいですか?
記事の数字を採らないでください。直近三か月で実際に貯まった額を見て、平均を取り、気づかない程度に少しだけ上へ丸めて、その水準で一周まわします。途中でお金を引き戻さずに周が終わったなら、翌月もう一段上げます。引き戻したなら高すぎたので、前の額に戻します。自分の上限は、一度の推測で当てるものではなく、試して見つけるものです。この探し方そのものが、この形のいちばん誠実な部分です。
収入が不規則でも使えますか?
弱い形でだけ使えます。定額ではなく、入金のたびにその一定割合を貯めて、固定費ひと月ぶんを丸ごと吸収できる予備の袋を持ってください。細い月で計画が壊れないようにするためです。ただし正直に言えば、こちらは難しいです。収入が動く人は自分の固定費の下限を知っている必要があるのに、この形はそれを教えてくれません。二、三か月だけ記録してから移るのが順番として正しいです。
リボ払いなどの残高があっても使えますか?
部分的に使えます。最低返済額は固定費の袋に入るので、そこは守られます。ただ、最低返済額を超える返済は貯金と同じ種類の判断で、この形が守るのは先に出す一つの数字だけです。返済が優先なら、先に出す先を貯金ではなく返済にするか、二つに割ってください。この形が絶対にやらないのは、新しい支出がそのカードに乗るのを止めることです。残高が生き続ける仕組みは、たいていそちらです。
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